運動能力を重視する考え方は、20世紀になってスポーツ活動が盛んになるにつれて定着してきました。
青少年の体力を、歩く、走る、泳ぐといった基本的な運動・スポーツ活動で向上させようという姿勢がとられるようになりました。
また、青少年だけでなく、成人のテニス、スキー、サイクリング、水泳などのレクリエーションにも、運動能力・運動神経系機能が必要なこともわかってきました。
運動能力の向上を目ざすトレーニングは、局所的な筋運動よるのではなく、スポーツに認められるように全身の筋肉をまんべんなく使う運動によるのが基本となってきました。
言い換えれば、今日の運動能力とは歩行、ランニング、水泳、山登りといった全身の持久力が要求される運動を効果的に行う能力と考えられています。
適切な運動能力が誰にでもみにつけられるようになるには、まず、体力の基準が定められることが必要です。そのため、平衡感覚、筋力、関節の柔軟性、敏捷性、スピード、持久力などの能力を知るのに適した運動を採用し、各能力を測定した値から、その基準を定める必要があります。
そして、体力を増進させるためには個人の運動能力を計測し(運動能力テスト)、その基準値をもとに適切なトレーニングのカリキュラムを作ることが必要です。また、運動能力テストはトレーニングの成果を知る上でも必要です。
トレーナー、コーチ、体育の教師などの専門家たちは、以前までは、そのスポーツの特性に応じたトレーニングの効率の向上を求めていました。
そのことは、スポーツ選手の養成という立場でしかなく、いわゆる多くの人々の体力向上とは必ずしも結び付きませんでした。しかし、そのことが総合的な体力の向上につながるヒントを与えてくれました。
今では、そういった専門家の新たなる努力によって健康増進のための体力づくりを、どのような内容(種類、強度)にするかというプログラムが作られています。
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