〇体力の概念
体力の概念は、WHOの定義によれば「ある特別な条件下にあっても身体運動をすることができる能力」ということになります。しかし、今日的に見れば、単に筋力や特別な運動能力だけを重視するのではなく、先に述べてきたように最大酸素取得量に集約される心臓血管系、呼吸系、筋肉系の総合された持久力と活動機能が体力の重要要素と考えられています。
これらの要素を満たすことによって、病気にかかりにくい体をつくることができます。また、日々の生活において、肉体的、精神的緊張に耐えること、あるいは緊急な事態に遭遇したとき、それに対処する力ができます。
言い換えれば、運動が、衛生的、病気の予防的価値があるとみなされるようになったわけですが、そのため、近来の筋肉のトレーニングは、持久力、調整力、柔軟性、敏捷性、などを養うことに主眼を置くようになりました。
こうしたトレーニングは、ただ単に、筋肉を鍛えるだけでなく、心臓血管系、呼吸器系、運動器官などを強化することができます。
動的でリズミカルな運動、例えばランニング、水泳、歩行、あるいはレクレーション活動などは、健康を維持し、運動器官の退化から生ずるあらゆる疾患を予防することに有効だということです。
つまり、現代の体力についての考え方では、筋肉の運動器官全般のトレーニングだけではなく、心臓血管系、その他の器官を良好な状態に保つための規則正しいトレーニングが必要だとされています。
« 筋力向上